今まで書いた日誌のなかから、気になっている新刊本・作家・画家・装幀についてのものをまとめてみました。
現在、掲載しているのは、2003年の日誌。
手軽に手に入るものもありますので、ブックレヴューとしてお楽しみください。
(画像・文ともに、これから充実させていく予定です)

『はじめてのゆき』中川李枝子 /中川宗弥(日誌:2003年1月16日)


昨日の雪は騒ぐ前に溶けてしまった。残念。

[完璧な雪だるまの作り方・米研究](CNN/注・リンク切れ)ってのを試してみたかったです。

→は私のお気に入りの絵本『はじめてのゆき』に出てくる、ゆきだるま。

で、←にいるのは、同じ絵本に出てくる「とらた」という生きものです。中川宗弥さんの絵がとってもかわいい。

雪つながりで載せてみました。


『ハンカチの女の子』鈴木義治(日誌:2003年3月6日)


今日は、まだHPでは出したことがないけれど(イベントではだしたことがあります)、いいなぁと思っている絵本画家さんを紹介。

名前は、鈴木義治さん。二科会などの受賞歴もある画家さんです。へなへなーとした線や淡い色使いがモダンで気に入っています。女の子も可愛い。(画像見にくくてすみません)

↑の『ハンカチの女の子』(ひくまの出版)は、まだ新刊屋さんで手に入ると思います。気になった方はぜひどうぞー。


『はるかぜとぷう』小野かおる(日誌:2003年3月19日)


気がつけば、3月も残すところあと10日余り。早いー。

こちらに引っ越して来てから、もうすぐ一年です。確か、去年は、愛知と東京で桜の開花具合が違って、愛知でもうすぐ見ごろ?と思って来たら、東京ではもう満開で、引越しの後片なんかをしてたら散ってしまったのでした。

今年は、ゆっくりお花見に行けたらと思っています。ということで、今日は、春のはじまりらしい絵本を一冊。

この絵本に出てくる「とぷう」は、「はるかぜのこども」で、青い迷子札をつけて町へ遊びに行きます。小さい頃は、この「はるかぜ」たちが、どうしても「ひとだま」に見えて仕方ありませんでした(正直、今でも見える)。でも、このひとたちは、なんだかおいしそうですね。マシュマロか綿菓子みたい。

『はるかぜとぷう』(小野かおる、さく・え)。福音館の「こどものとも」のなかの一冊です。

『猫の宇宙』赤瀬川原平(日誌:2003年4月1日)



昨日は久しぶりに自転車に乗ってふらふらしました。空気が春になってて、びっくり。

ついでに、前から気になっていた白猫を見にいきました。家の前の道をずーっと行った突き当たりの道路の角に、いつも居るのです。たぶんノラで、あそこが猫定位置。

あいにくと、昨日は会えませんでしたが、ちょうどこんな猫(←)。まっしろなのです。

ちなみに、この表紙は、「思慮深い母親に見えるけど、じつは母猫がパクリと餌を食べちゃって、仔猫が泣いているのだ」という図。何とかわいい...。[猫の宇宙、写真・文・赤瀬川原平]

写真絵本『こいぬがうまれるよ』(日誌:2003年6月9日)


昨日は、自分用の本棚を整理しました。本棚がいっぱいになって、本が入りきらなくなってしまったので、新しいのを買うことを改めて決意。

今は、本棚の一番上に、入りきらなかったものを横にして積み重ねてあります。たぶん、地震になったら、これが一番先に落ちてきます。

←は、昨日ごそごそしていて見つけた本(左)。小さい頃に読んで、いぬのお母さんからあかちゃんが出てくる写真が衝撃でした。あと、子犬の名前が「ソーセージ」っていうのも、ヘンなのーと気になっていた覚えが・・・。

でも、この写真絵本は、赤ちゃんイヌの写真がたくさん載ってたり、嫌がるイヌを引っ張る女の子の図(右)もあって、とても可愛い。題は『こいぬがうまれるよ』。まだ手に入ると思います。

『くりすます』鈴木悦郎(日誌:2003年7月4日)


昨日は、近所に新しく出来た古道具屋さんにふらふらと出かけました。そこで出会ったのが左のお茶碗。黒くて細い線でまあるい木が三つ、側面に描かれています。

おや、可愛らしい、と手にとってみたら「ETSURO」とサインがありました。この細い線と木の形、そしてサインからして、たぶんこれは、中原淳一さんの『それいゆ』などでカットを描いていた画家・鈴木悦郎さんのイラスト茶碗。『それいゆ』でも、細いペンで同じような絵を書いているのを見たことがあります(参考ページ)。



そして、このお茶碗の後ろにあるピンクの天使マーク(↑)を見て思い出したのが、左の『くりすます』。同じ鈴木悦郎さんが絵を描いています。この天使マークと表紙、似てるー。ちなみに、この本は、発行が女子パウロ会で、たぶん今でも手に入ります。悦郎さんの絵は、とってもモダンで可愛らしいので、おすすめです。

『ボクの音楽武者修業』小澤征爾(日誌:2003年7月4日)


←最近(というか、ここ何ヶ月か)はまっている小澤征爾さん関係本の一冊。ついこの間、入手しました。

征爾さんに惚れたのは、この本→のせい。こんな男の子、素敵すぎます(「ボクの音楽武者修業」小澤征爾・新潮文庫、新刊屋さんで入手可)。

←こちらの本の題名は「やわらかな兄征爾」(小澤幹雄・芸術現代社)。征爾さんの弟さん(表紙左のひと)が書いた本です。大阪でナリコさんに「征爾さん本ー」と見せびらかしたら、「この弟さん、オザケンに似てるー」という話になりました。確かに、似てる。お父さまでしょうか(後日違うことが判明)。

征爾さんの奥さまで元モデルの入江美樹(ヴェラ)さん(超美人)、ヴェラさんのお母さまでお料理研究家の入江麻木さんも海月としては気になるところです。

『人形劇入門』南江治郎(日誌:2003年7月9日)


今日は最近気づいたおすすめ新刊・カラーブックスの『人形劇入門』(南江治郎)。

イージー・トルンカの人形映画「デカメロン」や「手」「支那の皇帝と鴬」「兵士シュベイク」の写真&解説、シュレンメルのメカニックな人形、ブタペストやブルガリアなども含む各国の人形劇の人形が事細かに載っていて、いい感じなのです。

カラーブックスって小さいせいでついつい見逃しがちだけれど、ビジュアルも解説もぎっしり詰まっていて、ほんと偉いシリーズだわーと、これを読んで改めて確認いたしました。

(写真は当時の東ドイツ・ドレスデン国民人形劇場「狼との決闘」の人形。くずれぐあいが気に入って載せてみました。特に左のウサギ・・・)

『茶粥の記・神楽坂』矢田津世子(日誌:2003年7月23日)


梅雨がまだ明けません。昨晩などは、梅雨寒で肌寒いくらいでした。

私は、ちょうど夜の晩酌をして、気分がよくなっておりましたので、寒いから温かいお粥でもつくろう、胃を大切にしなくちゃいけないしな(なら飲むなというのは置いておいて)と、梅干粥をつくりました。

ほんとうは、坂口安吾の想い人・矢田津世子さんが書いた小説『茶粥の記』を読んで、茶粥をつくろうと目論んだのです。

が、おなじページに、おいしそうな梅干粥の作り方(というか、これは小説なので、実際のレシピではないのですが、でも作り方)が載っていたので、今日は肌寒いから茶粥よりも梅干粥のほう、と決めました。

「グツグツ煮えたはじめた頃合いを見はからって土鍋の真ん中へ梅干を落して、あとはとろ火で気長に煮あげる。粥は梅干の酸味を吸い出し梅干は程よい味にふっくらと肉づいて、なんともいいようなく旨い。」と、矢田さんが書くお粥は、ほんとおいしそう。お粥の甘さと、コトコト煮て柔らかい味になったうす紅色の梅干が思いうかびます。

お酒のあとの〆として、こんなしみじみとした味も、いいものです。
(『茶粥の記・神楽坂』矢田津世子は講談社文芸文庫で入手可)

『私の軽井沢物語』朝吹登水子(日誌:2003年7月24日)


去年の秋、軽井沢に初めて行きました。いかにも避暑地な場所でございました。

この頃、日常生活からトリップしたいときに『私の軽井沢物語』(朝吹登水子)をパラパラめくります。この朝吹さん、ご存知の通り、フランソワーズ・サガンの訳をたくさん手がけていらっしゃる方で、もともと超いいとこのお嬢さま。すばらしい家柄のご出身なのです。

この本でも、ポニーに乗って遊んで、イギリス人の家庭教師がいて、宮さまや公爵・伯爵がたくさんでてくる、まさに「物語」みたいな生活が綴られます。今はなき日本の上流階級。

ちなみに、朝吹さんは、『巴里の空の下オムレツのにおいは流れる』の石井好子さんのご親戚にあたります。パリ時代、一緒に住んでいたこともあって、石井さんのエッセイにもよく登場するのです。

しばらくの間、写真が沢山入っている(←これ大切)『軽井沢物語』で、つかの間のトリップを楽しみたいと思います。

『巻頭随筆』文藝春秋編(日誌:2003年7月30日)


この前、矢田津世子さんの『茶粥の記』について書きましたが、あの時代の女性作家の伝記を読んでいると、「エス」ってのがよく出てきます。

「エス」。分かりますでしょうか。今は、ほとんど使わない言葉ですが、女子が同性の女の子に恋心(みたいなもの)を抱いて、お互いに手紙をやり取りしたりする関係のことです。

文中で「あの人は、○○ちゃんのエスよ」とかそういう使い方をされているのを、よくみます。そして、エスを持っている女の人がけっこう多い。時には、少女小説の主要なテーマだったりもします。

神津善行さんの随筆にも「女房のエス」ってのがあって、面白かった(神津さんの奥さまは、中村メイコさん。『巻頭随筆』文藝春秋編・収録)。

『猫のいる日々』大佛次郎(日誌:2003年8月19日)


nekoi.jpg(7258 byte) 今回の休みで、「行きたかったけど行けなかったところ」に、丸亀の猪熊弦一郎現代美術館があります(建築・谷口吉生氏)。

前々から「行きたい」と言いつづけているせいで、行ったことある人が「すごくよかったよー」と教えてくれます。で、さらに行きたくなってます。

画像の本は猪熊弦一郎さんが装幀をした『猫のいる日々』(大佛次郎著)。大好きな装幀です。

そういえば、先日、モダンジュースのナリコさんが、丸亀の美術館のミュージアム・ショップで売ってた「弦一郎画・猫シール」を送ってくれました。この装幀と同じく、ものすごくかわいかった。もっといろいろ欲しい&見たいので、(それもあって)行きたい。

最近聞いた情報では、車で行くと、讃岐うどんも味わえてさらに良いとか。いつか・・・。

『私の軽井沢物語』朝吹登水子/『バーブシカの宝石』入江麻木(日誌:2003年8月21日)


「髪を紅茶でしめらせてカールしていた」。これは、前にここでちらっと書いた『私の軽井沢物語』(朝吹登水子)に出てくるフレーズです。

入江麻木さん(小沢征爾さんの奥さま・入江ヴェラさんのお母さま)の著作『バーブシカの宝石』にも同じようなことが書いてありました。

入江さんによりますと、「サモワールの底の方にたまった紅茶を煮出したようなとろりとした液体」をセットローションのように髪にぬって夜三つ編みにしておくと、きれいなくせがついたそう。

紅茶をセットローションに、というのは意外ですが、朝吹さんの本にも書いてあるということは、明治・大正時代に入ってきた外国の風習だったのでしょうか。入江さんもロシア人のお義母さまに教わったと書いているし・・・。

この頃は、紅茶を飲むたびに、このフレーズを思い出してしまい、ちょっと困っています。

平凡社カラー新書61の『ネコの探求』(日誌:2003年8月29日)


n.jpg(4606 byte) ←は、最近発見して驚いた写真。平凡社カラー新書61の『ネコの探求』という本の中の1ページです。

ご覧になって分かるように、女の子がネコの耳をひっぱって持ち上げてます。で、ネコは「うわぁーやめてよぉー」って感じです。

ついでに書きますと、この写真についているコメントは「どんなに、手荒くあつかわれても、なおかつ友好的態度を保ち続けるネコに、私たちは遊びの精神をみることができる」。

・・・ほ、ほんとなんでしょうか。この本、今でも手に入ると思います(が、この写真がまだ入っているかは未確認)。こんな「手荒」じゃない、ものすごく可愛いネコ写真もたくさん収録されているので、気になった方は新刊屋さんで探してみてください。

今日は今から出かけます。暑くなりそう。


(C) Copyright KURAGE SHORIN. All Rights Reserved.